仁義の墓場っていう渡哲也主演のヤクザ映画がすごかった

戦後に実在したというヤクザ、石川力夫を渡哲也が演じます。
他の日本のヤクザ映画と同じく、本作でもたくさんの暴力が描かれますが、
本作のそれは「仁義無き戦い」などで描かれる暴力とは質が異なります。
石川の暴力は計画性がなく、衝動的なのです。
強盗、強姦にはじまる石川の暴力には限界がありません。
賭場を荒らし、自身の親分を斬りつけた石川はやがて薬物中毒になります。
石川にとって唯一の支援者であった情婦もやがては自殺。情婦の骨を収めた骨壷をかかえ、
その骨をかじり、敵対勢力から瀕死の重傷を負わされるも、奇跡的に逃げおおせたのちに刑務所に
収監された石川ですが、ついには刑務所の屋上から身を投げて死んでしまいます。享年29歳だったそうです。
暴力と薬物に明け暮れ、いっさいのモラルを無視して生きたいように生きた石川の短い生涯を描いた本作は、
日本のヤクザ映画においてもっとも衝撃的な作品のひとつであると思います。